難しいサービスを動画で伝えるには?翻訳力の重要性

翻訳力で、難しいサービスを身近な言葉に変える

【この記事のポイント】

  • 専門サービスを動画で伝える鍵は「翻訳力」であり、内容の"削ぎ落とし"と"具体例"がセットで必要
  • 視聴者の前提知識を1〜2段階下げ、「比喩・日常のシーン・一言フレーズ」で理解を助ける
  • ストーリーと構造を先に設計し、「専門家のプライド」と「視聴者の理解」を両立させる

今日のおさらい:要点3つ

  • まず「この動画を見たあと、視聴者にどんな一言をつぶやいてほしいか」を決める
  • 次に「専門用語を使わずに30秒で説明する」原稿を作り、そこに必要最低限の専門語だけ戻す
  • 最後に、日常シーンや比喩を1本につき最低2つ入れて、「頭」ではなく「感覚」でも伝わるようにする

この記事の結論

一言で言うと「難しいサービスほど、"翻訳者の目線"で動画を設計すれば伝わる」。最も重要なのは、「専門用語で説明する前に、視聴者の世界の言葉で言い換える」ことです。失敗しないためには、「専門家が話したいこと」ではなく、「視聴者が理解して動けること」を基準に、ストーリー・比喩・事例を組み立てる必要があります。


専門サービスを説明しようとすると、なぜ伝わらなくなるのか

専門用語を並べた原稿を、何度も読み直してしまう夜

正直なところ、BtoBや専門サービスの動画原稿を最初に書くとき、何度も同じ失敗をしてきました。

  • 自分では分かっているから、専門用語をそのまま使ってしまう
  • 「これくらいは相手も知っているはず」と前提知識を高く置いてしまう
  • 書き終わった原稿を読み返して、「これ、本当にお客さんに伝わるのかな」とモヤモヤする

サービス紹介動画の解説でも、「自社目線で機能を説明しがち」「視聴者目線での"利点"に変換できていない」が、失敗の典型例として挙げられています。

実際に、クラウド系の専門サービスの動画原稿を初稿まで書いたときのこと。社内のエンジニアに見せたら、「説明としては間違っていないけど、これを中小企業の社長が見て理解できるかと言われると…」と、少し言葉を濁されました。

その日の夜、原稿を読み直しながら、何度もバックスペースキーを押しました。専門的には正しい。でも、届けたい相手には遠い。そんな感覚。

翻訳の世界では「ターゲット言語側の表現力」が重視される

この感覚を変えてくれたのが、「翻訳力」の考え方でした。翻訳専門校や翻訳会社の解説では、翻訳に必要なスキルとして、

  • 言語知識(元の文章を正確に読む力)
  • 内容理解力(何を伝えたいかをつかむ力)
  • リサーチ力(足りない部分を補う力)

が挙げられています。

そして、プロの翻訳者は「元の言語が堪能なだけでなく、ターゲット言語側の表現力と、その分野の知識を豊富に持っていることが重要」だと強調されています。

要するに、「英語を理解する力」より、「日本語でどう伝えるか」の方が仕事の質を左右する。これを動画に置き換えると、

  • サービスを深く理解していること
  • 視聴者の世界で使われている言葉を知っていること
  • 両者をつなぐ"翻訳"ができること

この3つが揃って初めて、「難しいサービスがわかる動画」になると感じるようになりました。

専門用語を一度全部"はがして"みる

そこから、専門サービスの動画を作るときに、必ずやる作業を決めました。それが、「一度、専門用語を全部はがして説明してみる」という工程です。

例えば、

  • 「クラウド型業務システム」→「バラバラなエクセルを1つにまとめる仕組み」
  • 「インナーブランディング支援」→「社員が自分の会社を"話したくなる"ようにするサポート」

サービス紹介動画の成功事例でも、専門用語をそのまま使うのではなく、「日常のシーンや比喩で説明してから、正式名称を紹介する」という構成が多く見られます。

関わった動画の中で、一番反応が良かったものの一つは、

  • 冒頭で「毎朝エクセルを開いて、何枚もシートを行き来していませんか?」と聞く
  • 次に「それを1つの画面にまとめるのが、この仕組みです」と見せる

というシンプルな構成でした。難しい機能の説明を一切せず、「日々の動作」と「それが変わったあとの感覚」だけを映像とナレーションで描いた動画。

公開後、営業担当から「正直なところ、自分の説明より動画の方が早いです」と言われ、「翻訳出来ている」と感じた瞬間でした。


翻訳力を効かせた映像設計の3つのポイント

ポイント1:視聴者の前提知識を"1〜2段階低く"設定する

解説動画の作り方を説明した記事でも、「視聴者の理解度に合わせたレベル設定」が最初のステップとして挙げられています。

ここを専門家に任せきりにすると、多くの場合「自分と同じレベル」か「それより少し下」で想定してしまいがちです。

正直なところ、「それは分かっているよ」と思われるくらいでちょうどいい。思い切って、「まったく初めて聞く人」を前提に置くくらいの方が、一般向けには伝わりやすくなります。

BtoB SaaSの動画を作ったとき、最初の台本では「API連携」「ワークフロー」といった言葉が当然のように出ていました。テスト視聴してもらった中小企業の社長から返ってきた言葉が、

社長:「実は、"ワークフロー"の意味もあいまいなんですよね。」

この一言で、「前提の1段階目からズレていた」ことに気づきました。そこから、

  • 「複数の承認の流れを、自動で回す仕組み」
  • 「紙やメールで回していた決裁を、画面の上で回す」

という言い換えに変えたところ、「そういうことなら、イメージできます」と返ってきました。

視聴者の前提知識は、「自分が思っているよりも1〜2段階下」に置く。それを前提に原稿を書くと、自然と比喩や日常シーンを使いたくなります。

ポイント2:比喩・日常シーン・一言フレーズで"二重に伝える"

解説動画やサービス紹介動画の制作ガイドでは、「抽象的な説明だけでなく、具体的な事例やデモを組み合わせる」ことが推奨されています。

動画ならではの強みは、「言葉+映像+音」で同じことを二重三重に伝えられる点です。

よく使う"翻訳の三点セット"は、

要素説明
比喩全く違う分野の身近なものに例える
日常シーン視聴者の「昨日の自分」の行動をそのまま見せる
一言フレーズ専門要約を刺さる一言にする

例えば、「データ活用支援サービス」を説明する動画なら、

  • 比喩:「冷蔵庫の中身を見える化して、ムダな買い物を減らすイメージです」
  • 日常シーン:朝の会議で、みんながそれぞれ違う数字を見ている様子
  • 一言フレーズ:「"勘"ではなく、"同じ数字"を見て動けるようにする」

といった要素を入れます。

物流系サービスの動画を作ったとき、

  • 冒頭に「毎日、どこから手をつけようか悩んでいませんか?」という一言
  • 次に「渋滞情報と配達先を自動で並べ替えてくれる"地図アプリ"のような存在です」と比喩

この2つを入れたことで、「なんとなくスゴそうなシステム」から「Googleマップの"物流版"」というイメージに変わり、初回商談の会話もスムーズになりました。

正直なところ、専門サービスは「何がすごいか」以前に、「どんな"身近なもの"に近いか」が伝わっていないことが多い。翻訳力とは、この「身近な世界への橋渡し」をどれだけ丁寧に作れるかでもあります。

ポイント3:ストーリーの順番を「悩み→変化→仕組み」の順にする

サービス紹介動画の成功事例では、「悩み(ビフォー)→サービス→変化(アフター)」という流れが王道です。

解説動画の作り方でも、「課題提示→解決策→具体例→まとめ」の4ステップが推奨されており、順番が重要だとされています。

専門サービスの動画では必ず順番を意識します。

NGパターン:

  • いきなり「私たちのサービスは◯◯です」と名乗る
  • 機能紹介が続く
  • 最後に「お問い合わせはこちら」

OKパターン:

  • 悩み:視聴者の「昨日のため息」を描く
  • 変化:導入後の「小さな楽さ」や「安心感」を描く
  • 仕組み:その変化を支えるサービスの中身を簡単に説明する

あるHRテック企業の動画では、

  • 冒頭に「昨日も、退勤後に勤務表のチェックをしていませんでしたか?」という悩み
  • 次に「翌朝の残業時間集計が"ボタン1つ"で終わる」という変化
  • そのあとにシステム画面を30秒だけ見せる

という順に変えたところ、視聴維持率が約15%改善しました。「機能から入る」と途中離脱され、「悩みと変化から入る」と最後まで見てもらいやすくなる。体感としても大きいです。


よくある質問

Q1:専門用語は一切使わない方が良い?

一切NGではありません。ただし、最初に「日常言葉」でざっくり説明し、その後に"ラベル"として専門用語を紹介する順番がおすすめです。

Q2:サービス紹介動画は何分くらいが良い?

BtoBや専門サービスなら、60〜120秒が目安とされます。複雑な内容を5分以上で説明するより、「2分×テーマ別」の方が理解されやすくなります。

Q3:アニメと実写、どちらが分かりやすい?

抽象的な概念や情報の流れを説明するならアニメ、現場の雰囲気や人柄を伝えるなら実写が向いています。ケースによりますが、両方を組み合わせたハイブリッド構成も増えています。

Q4:すべての機能を動画で説明すべき?

いいえ。サービス紹介動画は「概要理解」が目的なので、すべてを詰め込む必要はありません。詳細はLPやオンラインデモに任せた方が、視聴者も疲れません。

Q5:専門家本人にしゃべってもらうべき?

信頼感の面では有効ですが、「難しい言い回しになりがち」というデメリットもあります。事前に翻訳された原稿や、インタビュアーを挟む形でバランスを取るのがおすすめです。

Q6:一度作った動画はどこで活用すべき?

自社サイト、LP、商談前のメール、ウェビナー前後、SNS広告など、5〜7箇所で使う前提で設計すると投資回収しやすくなります。

Q7:AIを使って台本を作るのはあり?

ありです。解説動画の構成案やストーリーボードをAIに作らせ、専門家が中身と比喩を肉付けするフローが、コストと質のバランスが良いとされています。

Q8:事例は必ず動画に入れるべき?

可能であれば1本につき1つは入れたいです。「どんな会社が、どう変わったか」を具体的に示すと、抽象的なサービスも一気にイメージしやすくなります。

Q9:専門家から「それでは正確じゃない」と言われたら?

正確さと分かりやすさは、常にトレードオフです。ケースによりますが、「正確さが必須の部分」と「噛み砕いても良い部分」を一緒に線引きする打ち合わせを挟むのが現実的です。


まとめ

  • 難しいサービスを動画で伝えるときの肝は、「翻訳力=専門の世界と視聴者の日常をつなぐ力」であり、内容の正確さだけでなく、視聴者の前提知識に合わせた"言い換え"が必須
  • サービス紹介動画や解説動画の成功事例に共通するのは、「悩み→変化→仕組み」の順番と、比喩・日常シーン・事例を組み合わせて"二重三重に"伝えていること
  • 翻訳のプロが「ターゲット言語側の表現力と専門知識の両立」を重視するように、動画でも「専門家の理解」と「視聴者の理解」の両方に立ちながら、尺・構成・表現を設計することが、問い合わせや商談につながる

PAQLAの想い

うまく言葉にできない価値を、
伝わる映像へ。

株式会社PAQLAは、ただ映像を撮る会社ではありません。
私たちが大切にしているのは、まず話を聞くことです。企業の中にある想い、技術、こだわり、これまで積み重ねてきた物語を丁寧に取材し、「何を、誰に、どう伝えるべきか」から一緒に整理します。

「自社の魅力がうまく伝わらない」
「動画を作りたいけれど、何を話せばいいかわからない」
「採用や広報で、もっと会社らしさを届けたい」

そんな悩みこそ、PAQLAが力になれる領域です。
テレビ業界で培った取材力・構成力・伝達力を活かし、あなたの会社の“当たり前すぎて気づいていない価値”を、見る人に伝わる形へ翻訳します。

映像を作る前に、まずはあなたの会社の話を聞かせてください。

記事カレンダー

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930